すがも薬膳薬局 重原 紀子 様

すがも薬膳薬局 重原 紀子

中医学(中国伝統医学)の特徴として「未病先防(みびょうせんぼう=病気にかからないようにする)」の考え方があります。
代表的な中医学古典である「黄帝内経 素問」には「内なる正気が充実していれば外邪が侵入できない」とあり、「正気(せいき=体に本来備わっている抵抗力や免疫機能)」を充実させることが未病先防の基本なのです。
そのために大事なことは、体と心のバランスを整えて抵抗力や免疫機能をアップさせること。免疫機能が低下しやすいのは、高齢者、乳幼児、妊婦です。年齢を重ねると風邪を引きやすくなるのは加齢による免疫機能の低下が原因とされており、シニア世代の方は特に注意が必要です。また、ストレスにより自律神経のバランスが崩れると、免疫機能が低下します。他にも、睡眠不足、運動不足、食生活や生活リズムの乱れ、喫煙、飲酒なども免疫機能の低下につながります。
中医学の観点では日常生活を如何に過ごすかが最も重要で、これを養生といいます。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、精神的にリラックスしてストレスを避けるといった基本的な養生をしっかりしましょう。そのうえで必要であれば、正気を充実させることに役立つ漢方薬を体質に合わせて使います。

新型コロナウイルスは病気の進行度合いなどにもよりますが、主に肺と胃腸系を犯します。特徴として、「湿邪(しつじゃ:体内に過剰になっている不要な水分など)」を持っている人は症状が重く出ることがあります。むくみやすい、胃腸が重だるい、舌に苔がべっとり付いているなど湿邪のサインは要注意。体質にあわせて湿邪を取り除く漢方を使います。

中国では、西洋医学と中医学の併用で治療効果をあげています。免疫強化、抗ウイルス作用、肺機能強化、ストレス解消といった漢方に有効性が認められており、武漢市で新型コロナウイルス感染症治療にあたった伝統医療の医師4900名はそれぞれ自分に合った漢方を服用して一人も感染者が出ていません。

シニア世代の方は体温が低めで免疫機能が十分ではなかったり、基礎疾患などで水液代謝が滞っている場合が多いです。養生と漢方でウイルスに負けない体づくりをしていきましょう。

Q1自分の抵抗力や免疫機能はどのくらい?
鏡でご自分の舌を見てみましょう。舌は内臓や正気の状態をあらわすバロメーターです。舌のふちに歯痕(波型の模様)がある、色が赤い/白い、苔がべっとり/苔が無い、といった具合にサインが表れます。淡紅色で歯痕が無く、白い苔がうっすらと付いているのが正常な舌です。体温も目安になります。一般に、体温が1℃上がると免疫機能は30%上昇すると言われています。現代の日本人は体温が低めなので、36.5℃程度であれば十分とみます。

Q2抵抗力や免疫機能を上げるには?
・睡眠⇒22時頃までには就寝し、質の良い睡眠を十分とりましょう。就寝時間はもっと早ければなお良いです。
・適度な運動⇒汗をかき過ぎないように注意しましょう。エネルギーや体に必要な潤いが汗と一緒に漏れ出てしまいます。
・体温を上げる⇒お腹と背中にカイロを貼る、白湯を飲む、ぬるめのお風呂にゆっくりつかる、などが有効です。
・ストレスをためない⇒自分なりのリラックス方法を見つけましょう。

重原 紀子(しげはら のりこ)
薬剤師、中医カウンセラー。
東京薬科大学薬学部薬用植物研究室卒業後、大手製薬会社に勤務。
『傷寒論(中医学の古典医学書)』 をきっかけに中医学に深い関心を抱き、漢方の世界に転身。約40年に渡り、漢方相談の臨床を積む。
すがも薬膳薬局:http://www.yakuzen-sugamo.com/

関連記事