山口医院 田口 享子様

山口医院 田口 享子
医療法人社団 育生會
山口医院 理事長

分子栄養学からみたシニア向け新型コロナウイルス予防対策

分子栄養学とは、生体内に正常にあるべき分子を至適濃度に保つ十分な量の栄養素を摂取することによって、生体機能が向上し病態改善が得られる治療法です。つまり、自らの自然治癒力を高め、病気の進行を防ぎ、症状の改善や病気の予防を行うことです。
では分子栄養学からみた新型コロナウイルス予防対策についてお話しします。
まず、病原体を身体の中に入れないことです。
鼻や口、眼、気道、消化管は、表面に粘膜があり、『粘液』で覆われています。粘液は、免疫グロブリンの一種のIgA抗体や抗菌タンパクなどが分泌され、外部から侵入する病原体をブロックしています。粘液は、ムチンというタンパク質でできており、IgA抗体分泌にはビタミンAやグルタミン、亜鉛などが必要です。抗菌タンパクの分泌にはビタミンDが必要です。ビタミンAの多い食材は、レバーやうなぎで、1日の摂取量の目安は20000IUでうなぎの蒲焼なら4串(1串100g)です。亜鉛の多い食材は牡蠣で、1日の亜鉛の摂取の目安は60mgで、牡蠣約23個分(1個20g)です。グルタミンは、肉や魚、卵、大豆に含まれています。ビタミンDの多い食材はきくらげなどキノコ類、鮭やカジキなどの魚介類、卵に含まれ、1日摂取の目安は5000IUで焼き鮭なら3.2切れ(1切れ100g)です。
次に病原体が粘液でブロックできなかった場合、体内で免疫反応が起こります。免疫細胞である好中球、マクロファージ、リンパ球などが働き始めます。それらの免疫細胞の60~70%は腸内に存在しており、腸内環境を整えることが免疫強化につながります。
好中球を増やすためにビタミンCをこまめに摂取すること、腸内環境を整えるために肉や魚、大豆に多く含まれるグルタミンや母乳に多く含まれるラクトフェリンを摂取すること、善玉菌を含む食材として、ヨーグルトや納豆、漬物などの発酵食品や食物繊維を多く含むキノコやこんにゃく、おからなどを摂取し腸内フロラを増やすことが重要です。ビタミンCの多い食材は、レモンやゴーヤなどで、1日摂取の目安は2~3gで、ゴーヤなら26本食べなくてはいけません。また食事をする際、楽しくゆっくり時間をかけて食事をすることが、胃腸の自律神経を整え、結果的に腸内環境に良い影響を与えます。
最後に身体に侵入してきた炎症を長引かせないことが大事です。炎症が長く続くと特に高齢者の方は、身体に悪い影響を及ぼすため、速やかに終息させることです。炎症を抑える栄養素は、DHA EPAのω3系の必須脂肪酸から生成されるレゾルビンとプロラクチンです。DHA,EPAは魚油に多く含まれ、1日の摂取の目安は950mgで焼き鮭なら2切れです。良い油を摂ることは身体の炎症を抑えてくれます。
このように身体の中でそれぞれの場所で、役割を果たすべく機能を有するために栄養素はとても重要です。肉でも鶏肉ばかりの偏った食材を食べるよりも、牛、豚、鶏肉など様々な種類の肉や魚、野菜を摂取することが多くの栄養素が摂取できます。いろんな食材を取ることが難しい方はサプリメントで栄養素を補充するのも有効な選択肢です。

① 旬の食材を食べるのは大切? 

旬の食材は、旬でない時期に比べると栄養成分が豊富で、味が濃くて美味しくて安価です。例えば、さばは産卵を終えて、秋になると脂がのってDHA,EPAなどの栄養成分が豊富になります。また、季節を感じながら食べるということは、腸脳相関によって、脳や胃腸の自律神経の働き良くして、脳の働きや胃腸の働きを整える効果があります。

② 筋肉の衰えを感じます。運動をしていますが、うまくいきません。なぜですか?

タンパク質が欠乏すると、免疫力の低下、感染に対する抵抗力が弱まり、貧血や筋肉量の減少や体力低下、思考力の低下、肌や爪、髪の毛のトラブルも生じます。1日のタンパク摂取量は、高齢者の場合(腎障害除く)、体重(kg) x 1.2~1.5(g)くらいを目標に取ることが望ましいです。肉、魚、卵、豆腐など積極的に取るようにしましょう。

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